番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

♪今日のBGM=・・・・無音・・・・・今日はアンプが不機嫌・・・・・まったく。


ちょくちょく買い物をする家電量販店から「特別御招待会」なるものが届いた。開けてみると、地上デジタル放送対応プラズマ&液晶テレビの展示&販売会。

“ご案内状”によると、

--「大画面で迫力ある映像を楽しみたい方は?」
--[シアターリビング]に最適なプラズマがお勧めです。

--「気軽にスマートTVライフを楽しみたい方は?」
--[カジュアルリビング]に最適な液晶がお勧めです。

だそうだ。
アタマにきた。

“気軽に楽しめる”とお勧めの32型ハイビジョン液晶テレビは、
メーカー希望小売価格520,000円。これのどこが、“気軽で、お求めやすい”価格なのか。
プラズマテレビに至っては、お勧め商品は900,000円。信じられん。
軽自動車ならば新車も買える。ぼくにこの案内状を送ってきた担当は、アホに違いない。相手を厳選するのはプロモーションの基礎である。

“ご案内状”をザッと読んだだけではわからないが、上記お勧め商品だけではデジタル放送はおろか、今現在流れている番組さえ見ることはできない。なぜか?
お勧めの商品は、正確には“テレビ”ではなく“モニター”。チューナーを追加しないとなんにも映らない。要するに「チューナーも合わせて買え」ということなのだ。

--「ライフスタイルに合わせて、お好みのタイプをお選びください」

と勧めるそのチューナー。鳴り物入りの地上デジタル放送を見ることができる機種は、最低価格で150,000円。

ということは、お勧めいただくような「気軽にスマートTVライフを楽し」むためには、

「液晶モニター」520,000+「チューナー」150,000=670,000円

670,000円也が必要ということとなる。
プラズマモニターだとあっさり100万を突破する。・・・・・・再び、信じられん。

この巨額な投資だけで地上デジタル放送を見ることは、実はできない。
多くの場合、アンテナも取り替えないと受信さえできない。要するに、地上波デジタルを見ようとする場合、現在のシステムを全取っ替えすると考えた方が早い。
しかし“ご案内状”のどこにも、そんなことは書いてない。こんな売り方、ほどんどサギではないか。

“ご案内状”イチ押しのプラズマモニターは50型。
これは購入する側の問題だが、どうしてこんな巨大な画面が必要なのだろう?
わが家のテレビは25型。これでも十分に大きい。ハイビジョン対応テレビは画面の形が横長になっているから単純な比較はできないが、50型だと画面のサイズはわが家のものの4倍にもなる。この巨大な画面を目玉に健康であるほどの距離を置いて見ることは、きっとわが家ではかなわぬだろう。

もうかなり前のこと。友人が40型のテレビを6畳のリビングに入れた。すると、当時3歳くらいだった子どもが顔を左右に振りながらテレビを見るようになったという。子どもの目には、広い画面が一度に全部、入り切らないのだ。

--アニメを、左右に首を振りながら見るんだよ。おっかしいぜ。

そう言って友人は笑った。

--笑っている場合じゃないだろう!

ぼくは、怒鳴った。
すぐにとなりの部屋からテレビを見るようにするか、買ったばかりの40型を廃棄すること。でないと、画面を理解すべく懸命に首を左右に振る間にも次から次へと飛び出てくる情報で、その子の頭脳はパンクする、必ず。
その時、ぼくは、そう思った。
科学的生理的に適合しているかどうかは知らない。でも、今でもそう思っている。

大きければいいというもんじゃないのだ。
50型横長ワイドな画面に、ハイビジョンが自画自賛するきめ細かな映像で、いにしえのアイドルの現在が超どアップで登場したら、時の残酷さを今以上に怨むことになるだろう。
殺虫剤のCMで、ひっくり返ったゴキブリが50型に映し出されたら、ぼくは卒倒してしまうかもしれない。あぁ、イヤだ。


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地上波のデジタル化は“国策”だ。止めることは難しい。
ローカル局も40億から60億はかかるといわれるデジタル化への準備を、いやいやながらか、浮き浮きしながらかはわからないが、進めている。
2011年7月、全国のテレビが一斉にデジタル化する。
その時、地上デジタルチューナーを取り付けてない従来のテレビは、その役割を終える。

しかし・・・、
何度、どう考えても、やっぱり納得がいかない。

国の方針として地上波をデジタル化するにしても、それを受信する機器・つまりは“テレビ”を一新・購入することをなぜに消費者へ強いるのか?

--オレは今のままでいいよ。

という声をまったく無視することが、なぜ許されるのだろう?

番組がカラー化した時、わが家は白黒テレビだった。それで十分だったし、全然困らなかった。そのまま、映らなくなるまで使い続けた。
今回、同じことはできない。2011年7月をリミットに、従来のテレビはご臨終とあいなるのだ。もう、生き返ることはない。テレビを見たいならば、イヤでもデジタル化対応のテレビを導入せざるを得ない。

その時、テレビはどのくらいの価格になっているのか?
わが家へ届いた“ご案内”に掲載されている地上波デジタル対応テレビは、最も低価格の32型液晶で42万円。これが7年後、2、3万円台になるのだろうか? メーカーは十分可能だと言う(そう言うにきまっているが)。
もし、その価格まで下がったとしても、半ば強制的に購入させることがおかしなことには変わりない。

一般家庭だけでなく、学校も、病院も、老人ホームも、あらゆる施設も、すべてのテレビを入れ換えなければならない。
病院や老人ホームが負担する費用は、結局利用者へとはね返る。
デジタル化を推進する人たちは、「受益者負担じゃ」と胸を張れるのだろうか?
デジタル化を推進するお役所のトップである麻生総務大臣は、地上波デジタル放送が始まる直前の昨年11月末、こう言った。

--100%いけるなんて自信はない。

2011年、あなたは総務大臣なぞやられてないでしょうから、自信がなくてもやれるんですよね。でも、すんごく困る人、たっくさんいるんですよ。


先日、構成した番組の中で、ひとり暮らしのおばあさんがこう言う場面がある。

--テレビ、見らんちゃついとらんとなぁ。誰かもの言いよらんとな、寂しかったい。

ひと月7万円あまりの年金で、ひとり暮らすおばあさんに、

--テレビ、買い換えないと、ものも言わなくなりますよ。

そう、誰が伝えるのだろう?
7年後、このおばあさんは、まだ80歳にもならない。


“番組構成師の部屋”←なんの変化もございません・・・・。


“ネコ助-Aoi’s Room”←ネコ助写真2点追加しました。

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