番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

♪今日のBGM=『Jimmy Page & The Black Crowes Live At The Greek』


またも日本テレビ、やってくれました。「サブリミナル」。
1秒間に0.2秒間、一万円札の福沢諭吉の顔を入れたという。

--お金というテーマを表現したかった。

かように担当プロデューサーは語っているとか。

*サブリミナル効果=感覚としては認識できないが、潜在意識に働きかける効果。

気づかれないように心へ頭脳へと忍び込み、情報の送り手の意図を相手に埋め込む。
それがサブリミナル。担当プロデューサーは福沢さんの顔を映像に埋め込むことで、視聴者に「金、かね、カネ」という意識を持たせようとしたわけだ。

アホかいな。
バラエティだから何でもやっていいワケじゃないんでっせ。

自らの意志で行動することを前提に、すべてのメディアは成り立っている。人は、読みたいから新聞を読み、見たいからテレビを見る。
その自由行動から何を得ようが、それはその人の自由だし、その人の責任だ。
サブリミナルはその基盤を揺るがす。
いわば“刷り込み”。一時、はやった言葉で言えば“洗脳”だろうか。
意識せぬ間に、意図しない印象なり思想なりが、直接、脳に生まれ出る。

あな、恐ろしや。

などと仰々しいことを言わずとも、この行為が卑劣で幼稚であることは疑いようがない。
どうしてこういう方向へ思考が動くのだろう? 自分の子どもが好きなアニメに殺人シーンが埋め込まれているとしたらどうだろう。
このプロデューサーは、

--子どもたちを魅了する効果があがるな、よしよし。

と、そう考えるのだろうか? 
殺人シーンの登場しないアニメの方が珍しかったりするから、あまりいいたとえとは言えないけれど、それにしても理解しがたいなぁ、この感覚。
自分自身の仕事、その役割を勘違いしているような気がして仕方ない。


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サブリミナル効果が知られるようになったのは、50年ほど前。
アメリカで映画の中に「コーラを飲もう」とか「ポップコーンを食べよう」という文字メッセージを挿入したところ、その商品の売り上げがグーンと伸びたことから、広告手法として注目されるようになった。

ところが、この「売り上げアップ」というのが、実は担当者のでっち上げだった。
その後、アメリカなどでは実験的にサブリミナル放送を行ったが、その効果は実証されなかった。つまり、効果があるかないか、わからないのだ。

しかし、しかしである。
アメリカでは欺瞞的行為としてCMに使用することが法律で禁止されている。
これは、イギリスやEUなど、ヨーロッパでも同様だ。

科学的に効果は証明されていない。だが、人の心に取り入るには、あまりにダーティ。
放送に携わる者として唾棄すべき行為、それが“サブリミナル”という手法なのだ。

それを、番組の責任者であるプロデューサーが、自らの番組に取り入れた。

--やっぱり、テレビは・・・・・。

もう、そういった反応さえ起こらないのではないか。

それが一番、心配だ。




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