番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

♪今日のBGM=The Byrds 『Live At Fillmore』


朝、机に向かう前、テレビの朝ワイドを見ていたら、最初の3人の
次に拘束された男性ふたりのうち、元自衛官だった方の帰国風景が
流れてきた。
見ていて、滅入ってきた。

--頼むから皆さんにお礼を言って、謝ってちょうだい。

と言う父親と母親。

--オレは現地で人が死ぬのを見てきたんだ。
--こっちの状況とは違うんだ。危険を覚悟で出かけたんだ。

そう強く語る男性。拘束から解放されてから、まだ日がたたない。
なにがどう報道されているのか、日本ではどのような反応なのか、
きちんと知る由もない。
まだ意識が高揚している男性が、自らのことを口にして当然だ。

しかし、両親は続ける。

--それはあなたのこと。
--とにかく、謝って、皆さんに謝ってちょうだい。

涙ながらに哀願する母親。誰に謝るのか、把握できない男性。

滅入る。

どうしてこういう会話を、十数本、それ以上のマイクが突き出され、
数多くのテレビカメラが取り囲む空港のロビーでさせるのか。
そして、最後には「家族同士の抱擁をお願いします」だと!

ばかやろぉ!

これがマスコミ。視聴者の好奇心を刺激し、ドラマティックに仕立てるには、
場所も、方法も選ばない。

幸福にも命を永らえた息子。何よりもまず抱きしめたいであろう
我が子の帰還を、正装でむかえねばならない老いた両親。
ネクタイを締め、スーツに身を固めた父親。
よそ行きの服を小奇麗に着た母親。
そのような格好をさせたのは、待ち構えるマスコミの“眼”。

そして、息子を抱きしめる前に「謝って」と懇願する。
両親にそう言わせたのは誰なのか?
それは、秩序を乱した子どもを育てた両親への厳しい世論。

あぁ、情けない。

ぼくらは、他人をどこまで追い詰めれば好奇心を満足させることが
できるのか?

先に解放された3人に対する誹謗中傷は、ものすごいという。
やれ「自作自演」だの「自業自得」だの「税金無駄遣い」だの、
「迷惑かけたくせに国には向かうとはなんだ」だの。
「共産党員の独走」だというものもある。

情けない。朝から、滅入る。
こんな人々と同じ国を構成しているのかと思うと、脱出したくなる。


しゅわっち「脱出! しゅわっち!」


フランスの新聞「ルモンド」は、日本人人質問題を報じる中で
こんな表現をしている。

--外国まで人助けに行こうとする世代が日本に育っていることを示した。

金しか出さない、人的支援をしない。
大金を放り出して、あとは知らん顔。

そういう日本に対するステレオタイプ的イメージをこつこつと
変えてきたのが、今回人質となった人たちということを、
日本人ではなくフランスの人たちのほうが認識している。
「ルモンド」は、こうも言ってる。

--人道的価値に駆り立てられた若者たちが、決して良くない
--日本のイメージを高めたことを誇るべきなのに、
--政治家や保守系メディアは逆にこきおろしている。

アメリカのパウエル国務長官の発言と同じ趣旨だ。
そして、

--社会秩序を乱した者は、
--後悔の念を示さなければならないのが日本の習慣。

そう報道されている。
重んじるのは、人が抱く意欲や理想ではなく、フツウを逸脱しないこと。
こうしたぼくらの認識・常識を変えていかないことには、
いつまでたっても「お上の言うこと、ごもっとも」という刷り込みから
抜け出すことはできない。

その認識・常識・刷り込みをぼくらに知らしめてくれるのが、
今回人質となったような活動をする人たちだ。


今、特に先に人質にとなった3人は体調を壊し、自宅で療養しているという。
心が穏やかになるまでゆっくり休み、そしてまた、自ら信じることへ
足を踏み出して欲しい。胸を張って。


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♪ここからのBGM=Electric Flag 『A Long Time Comin'』


夕方になって朝刊を読んでいたら、こんな記事が。

--米エネルギー大手ハリバートンによると、この20日までに
--イラク復興にかかわる同社及び子会社の社員計33人が死亡した。

ちっちゃな記事に記された、なんともすごい数。
たったひとつの企業およびその子会社だけの、犠牲者。
その多くが、長距離トラックの運転手だという。
これだけ多くのアメリカの民間人が、戦火のイラクの中、
トラックを運転したりしている。
ちょっと信じられない。

ハリバートン社はペンタゴンと定常的に仕事をしているアメリカ最大級の
石油サービス・建築企業。イラク“再建”を担う筆頭の筆頭、
というよりは、復興事業をほとんど独占的に受注している。
ペンタゴンとは抜群に相性が良く、イラク戦争が始まる半年も前に、
ハリバートンはクウェートに米軍基地を建設していた。

ここのところ、子会社を含めて、不祥事がぼろぼろ出てきて、
アメリカの皆さんも頭に来ているらしい。
笑ったのは、米兵への給食代金不正請求が明らかになった時の弁明。

--食事の用意をする時、たいていのコックは何人が食べにくるか
--分かっているが、イラクではことはそう単純ではない。

だと(朝日新聞より)。
これが数百万ドル(もっとかも)にのぼる不正請求を追究された
アメリカに冠たる大企業の言い訳である。

このハリバートンで、つい3、4年前まで最高責任者(CEO)を
つとめていたのが、ブッシュさんを陰で支えるチェイニー副大統領。
この関係を知って、うさん臭いと思わない方は、疑いを知らない
アルプスの少女ハイジか、汚れなきカリオストロのクラリス王女の
ような方であろう。

ま、そんなことはどうでもいいが、妙に思ったのは、イラクのための
復興支援ならば、運転手としてなぜイラク人を雇わないのか?ということ。
言葉の違いで意志の疎通を欠いたり、習慣の問題もあるだろう。
だが、それは違う文化の人間が触れ合う時には必ず起こること。
それをきちんと踏まえての援助が、復興のための支援のはずだ。

しかし、ハリバートンは、ガソリンなどを積み、走る車の運転手として
数百人(もっと多いかも)をアメリカで雇用し、イラクに送り込んでいる。
危険地帯イラクでの燃料輸送。それも、アメリカ企業&アメリカ人運転手。
危険の何重奏にもなる、そんな仕事に、応募する人が殺到しているという。
それは給料がいいから。一年間で、日本円にしておよそ1000万。
これだけ稼げる仕事は、ちょっと転がっていない。
だから、危険を承知でアメリカからイラクへと出稼ぎに行く。
そして、武装組織にねらわれる・・・。
なんとも、つらく、痛ましいサイクルだ。


どうする?「どうすりゃええんかね?」


先日、アメリカ人が拘束されるところを撮影した映像が流れていたが、
あの人質となった人も、ハリバートンに雇われ、イラクでトラックを
運転していた。
家業の畜産業が経営不振で倒産寸前。その上、奥さんは心臓病で入院。
手術費が必要となった。
そこで職を探していたとき、見つけたのが年収1000万の仕事。
「トラックの運転、ただしイラクにて」だ。
人質になったおじさんは、牧場などを売り払い、イラクへ渡ったという。

なんとも言いようがない。
普通の、善良なアメリカ人のおじさん。
今、無事なのだろうか?

他国に踏み込み、戦争を起こし、指導者を拘束し、政権を崩壊させ、
新たな秩序導入のため兵士を送り込み、自らの文化にはめ込もうとして
反感を買い、こんなはずじゃなかったと戸惑いつつ、反攻する市民には
容赦なく重器を向ける。

そんな敵国からやってきた、敵国トラックを運転する男。
敵意を一身に浴びていることだろう。
無事に、妻や子どもの元に戻れるだろうか?

心臓の手術を終えた妻は、ただ祈る毎日だという。


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♪今のBGM=Ten Years After 『Recorded Live』


明日から南の島へ巡業。
編集室に閉じこもるのは仕事だから仕方がないが、
南の島に行きながら、いまだ青き海、白き波に触れてないのが、
ちょっと、さびしい。

美しい景観、おいしい食べ物、そしてお酒。
でも、見つめるのは編集マンの背中越しのモニター画面、
食べるのはてんやモノ。
イヤではないが、ちょっと、さびしい。

予定は3泊4日。ホテルで何時間、横になれるかなぁ。
根を詰め、気を張り、作り、完成しても、
正味46分、サラッと流れて、はい終わり。
未来永劫、帰ってこない。
かなり、さびしい。

いかん、仕事する前に、早くもグチに傾きそう。
フロでも入ろ。

番組構成師の部屋


“ネコ助-Aoi's Room”

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