番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


♪BGM= Chicken Shack 『 O.K. KEN? 』






アジアカップ決勝戦の中国サポーターの“暴挙”。ナショナリズム作りにばんばん、活用されている。

特に熱心なのは、やはりNHK。昨夜は、『ニュース10』でもとりあげた。

中国の駐日大使が「遺憾の意」をあらわすために川口外相を訪ねる映像が流れ、
中国からの中継は、中国当局がいかに事を重大にとらえているかを特派員が伝える。

その合間に、実にタイミングよく、日本人サポーターを罵倒している(らしく見える)中国人サポーターの姿などが登場。
「日本製品を買うな!」「釣魚島は中国の領土!」といった文字も視聴者に与える効果を考え、インサートされる。

オンエアされた観戦帰りの日本人サポーターのコメントは、

・「中国はサポーターのレベルが低い」

・「オリンピックを開くのだったらマナーを磨いて欲しい」

サポーターの言葉を借りて、事は重大だと煽っている。
答えたサポーターは、自分の言葉を、こんな風に使われるとは思いもしなっただろう。

こんなに露骨に、ある目的を持って作られていることを明らかにしてもいいのだろうか?
そう、心配してしまうほどの、偏り方だ。

オリンピックの開催国としての技量が問われている。
中国からの報告は、こんな言葉で閉じられた。
誰が、どのように、問うているのだろう? IOCは「遺憾」と言ったらしいがその程度だ。

きたるべき北京オリンピックで中国の人たちが反感を覚えるのは、ぼくら日本人と日本選手に対してだけだろう。
そして、その反感の度合いが問題とされるレベルにまで高まるのは、サッカーだけじゃないだろうか。

要は、過去のきちんとしたとらえ方なのだ。

ところが、川口外相は、中国の駐日大使に対し、

--中長期的に国民感情の問題を見据え、きちんと分析し議論していくことが大切だ。

と、指摘した。

この言葉を聞いて、驚かずにはいられない。

「国民感情の問題をきちんと分析」してこなかったのは、日本側ではないのか。
それに関して議論することを避けてきたのも、日本側ではなかったか。

それを、ここぞとばかりに中国大使へ向かって言い放つ、この精神の貧困さ。
こんな恥知らずな言葉を吐く破廉恥人間を外務大臣に戴いてのほほんとしているぼくら日本国民。

あぁ、なんと言えばいいのやら・・・・。


こうしたニュースを見るたびに思う。

<映像は、危険だ>

どのような状況でも、映像を編集することで作りあげることができてしまう。

例えば、このニュースには日の丸に火をつける中国人サポーターたちの姿が繰り返し登場する。
興奮して叫ぶ女性。中指を立て、反感の意をあらわす男性たち。
彼らを静めようとする警官たち。
まさに混乱だ、画面で見る限りは。

しかし、それらはすべて“寄り”の映像。すぐ近くから撮影されたもの。
できる限り被写体に接近しないと、その表情や息づかいは撮れないから、アップの映像が多くなるのはわかる。

だが同時に、少し離れた、例えばビルの屋上からの俯瞰映像があれば、この“暴挙”はどう見えただろうか?
ほんのひとにぎりの人間たちが騒いでいる。その程度でしかなかったのではないか?
毎日新聞によれば、「バカヤロー、日本人」などと気勢をあげ、騒いでいたのは20代の若者500人ほどに過ぎない。
その他の観客たちは、敗戦の悔しさを抱きながらも、きちんと家路についたのだ。

騒ぐ若者たちに対し、中国人の観客ひとりはこう語っている。

「『バカヤロー』という言葉は自分も不愉快だ。しかし、彼らも感情を表に素直に出しているだけだ。
スポーツに関することであり、終われば何ということもない」

その通りだろう。

わずか500人の行動で、中国13億人の急所を握ったかのように批判を開始した日本政府。
それにマスコミは便乗した。
そのマスコミに報道される内容を見て、ぼくらがまた翻弄される。
為政者の思うつぼだ。


象徴的な映像を使い、ある出来事を伝える側に都合がいいように作り替える。
それは、何度も行われてきたことだ。

イラク戦争で、バグダッドに入ったアメリカ軍がフセインの像を引き倒したとき、日本のテレビではこぞって、

--バグダッド市民が歓声をあげています!。

的な報道をした。

だが、フセイン像を引き倒すその様子を少し離れたところから撮影した写真には、
どう多く見積もっても300人弱に満たない人間しか写っていない。
そのわずか300人弱の人々のうち、1割にあたる30人近くはジャーナリストだ。

フセイン政権が倒された。その象徴としてのフセイン像の引き倒し。
それを歓迎しているはずの200万にのぼるバグダッドの市民。
そのうち、フセイン像の引き倒しを見に来たのは200人程度にしか過ぎなかった。

広い全体像を見渡せる写真や映像であれば、その瞬間の全体の様子が分かり、
イラクの人たちが決して米軍を歓迎しているのではないことが理解できたはず。

しかし、実際に流されたのは、フセイン像を引き倒す様子のアップであり、
倒されたフセイン像に乗り、踏みつける子どもたちや、像をサンダルで叩く市民たちの、寄った映像だった。

実際にフセイン像を踏み、殴りつけるバグダッド市民はほんのわずかな数しかいなかったのに、
その映像は「歓喜するバグダッド市民」というコメントを乗せて、世界へ向けて発信された。

事実を曲解しろと言っているも同じだ。


<映像は、危険だ>

事実の一部を見ることで、その事実全体を見たと錯覚してしまう。
日の丸に火をつける中国人サポーターも、全体像の一部でしかない。

テレビに映し出される映像の外側に、より真相をあらわす事実がある。
それを忘れないようにしたい。

忘れると、為政者の思うがままに操られてしまう。






「あての新聞っ!」







♪BGM= NRBQ 『 At Yankee Stadium 』


はぁ・・・・・・・・・。

今度、珍しくタレントさんに参加してもらう番組に関わる。
そのラフ・ストーリーを考えるのに難儀中。

どんなシーンでどんなことをやってもらえばいいか、というのを考えるのもきついけど、
「こうしよう!」と考えついたこと、それがお金がかかるとシュンとなる。

例えば、

「だだっ広い埋め立て地にこつ然と現れたシーンを俯瞰からゆっくり撮り下ろそう!」

・・・・・・あぁ、クレーンカメラが必要だぁ・・・。

たぶん、専門のカメラマンと、オペレーターが必要になるからン十万はくだるまい。
はい、即刻却下。

てな感じで、午前中からひとりでツッコミ、ボケの繰り返し。
ふと「ひとり漫才」をやっていることに気づくと、ちょっと空しい。

2時15分過ぎか。休憩しよ。


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きのう、「わかろうとすること」について、ずるずる書いてて思い出したことがあった。

もうかなり前だけど、戦争を語り継ぐことに関する番組に携わったことがある。
その取材テープの中に、小学校6年生が戦争体験者の話を聞く様子があった。
体験者は、聞いている子どもたちと同じくらいのころ、沖縄でアメリカ軍の攻撃にあい、両親を亡くし、自身も腕をなくした男性。
その腕も、ちぎれかかっていたから自ら切り離したという、凄惨な体験談だった。

一般に沖縄戦と呼ばれるその闘いの現状と体験を語るおじさん。
重くて辛くて、取材テープを見ているだけでも気合いが必要。そんな感じの話だった。
だが、子どもたちの大半は、興味もなさげで、眠らないようにするのが精一杯、という感じ。
耳を傾けている子どもも、おじさんの話す内容や、状況をわかっている様子はなかった。

しかし、体験談終了後、びっくりすることが起きた。

話を終えたおじさんが建物を出ていこうとしたとき、ひとりの女生徒がおじさんのあとを駈けてきた。
その女の子は、おじさんに話をしてくれたことのお礼を述べ、話し始めた。

--あたしは、沖縄戦のことをおじさんの話で初めて知りました。
--あたしたちの教科書には、沖縄戦のことなんか、ひとつものっていないんです。
--おじさんが経験したことを、学校では全然教えてくれないんです。
--あたしは、それはすごく変だと思うんです。
--だからあたしは、だからあたしは・・・大きくなったら沖縄戦のことがちゃんとのっている、
--ちゃんとした教科書を作りたいと思ったんです。

こんな風に、すらすら言ったわけじゃない。
話し始めてすぐ、緊張と興奮とでだろうか、ひっくひっく、しゃくりあげながら、こんな意味のことをおじさんに伝えたのだった。

おじさんはびっくりし、ちょっと戸惑った。
でも、すぐに嬉しそうに笑い、

--うんうん、ありがとう。がんばってね。

と、優しく言い、振り返りながら帰っていった。

そうそう、テープを見ながら、なんだか泣けたこと、思い出した。

女の子は、同級生たちより感受性が強かったんだろう。
でも、きっと他の子たちも、おじさんの話が、この子ほどに心深く浸透しなくても、
記憶のどこかに残っているに違いない。

やっぱり、まずは“知ること”だ。
そのときは面白くなくとも、興味を引かずとも、まずは事実を知ること。
いずれ熟成し、心に甦るときがあるかもしれない。


しかし、女の子の「教科書に沖縄戦のことがのってない」という言葉は、ちょっと衝撃的だった。
それは、中学生、高校生と進んでいっても同じなのだろうか?
ぼくは小学校6年生の歴史の教科書を見たことがないけれど、きちんとページを割いて沖縄戦の説明をしているとは思えない。

教科書、ね。
国が、子どもたちに、なにを教えたいと思っているのか。
それには敏感になっていないといけないな。

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