番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


4月。『トム・ダウド-いとしのレイラをミックスした男』という映画が封切られる。

『レコード・コレクターズ』誌の4月号。

第一特集は「ナイアガラ・トライアングル」(こちらもなかなかおもしろい)だが、第二特集が「トム・ダウドとアトランティック」。なかなか興味深い内容だ。


レコードコレクターズ0604『レコード・コレクターズ 4月号』


トム・ダウド/Tom Dowd は、2002年10月に世を去った、今や伝説のプロデューサー。手がけた作品の数はハンパじゃない。邦題のタイトルにもなっている『いとしのレイラ』(デレク・アンド・ドミノス)をはじめ、我が家にあるアルバムを思いつくままあげてみても、


01allmanAllman Brothers band 『 At Fillmore East 』

02rodRod Stewart 『 Atlantic Crossing 』

03lynyrdLynyrd Skynyrd 『 Gimme Back My Bullets 』

04claptonEric Clapton 『 461 Ocean Boulevard 』

05tonyTony Joe White 『 The Train I'm On 』

06デラニーDelaney & Bonnie 『 To Bonnie From Delaney 』

07サウザーSouther-Hillman-Furay Band 『 Trouble in Paradise 』

08コルトレーンJohn Coltrane 『 Giant Steps 』

09プライマルPrimal Scream 『 Give Out But Don't Give Up 』

10ラスカルズThe Young Rascals 『 Groovin' 』

11オーティスOtis Redding  『 Otis Blue 』

12クリームCream 『 Disraeli Gears 』


・・・・・・・・・・・・・まだまだあるに違いない。


『レコード・コレクターズ』誌の特集は、トム・ダウドが日本に原爆を落とした「マンハッタン計画」に参画していたことや、レイ・チャールズの『ホワッド・アイ・セイ』がシングルにするには長すぎるともめたとき、AB両面に分ければいいと提案したことなど、興味深い話が満載だが、ぼくが一番興味を引かれたのがクラプトンの「裏方に興味はなかった」という発言。

上記の映画『トム・ダウド-いとしのレイラをミックスした男』(原題=Tom Dowd & The Language Of Music。このままの方がずっといいのに・・・・。クラプトンの人気に便乗したのが見え見え)は、クラプトンのこの「裏方に興味はなかった」という言葉で始まるという。

そう、その通り。裏方に興味を持ってもらう必要は、ホントはないのだ。裏方に光が当たるのは言ってみれば間違いで、裏方の仕事が成功した証は主役を光らせること。主役が光り輝く。それが、裏方の仕事としては最高。裏方は職人に徹すればいいのだ。

テレビの世界でも同じ。ぼくが主に参加しているドキュメンタリー番組の主役は映像と音。ディレクターをはじめとしたスタッフが収録してきた素材をどう光らせるかが、構成係のぼくや、編集担当、選曲担当、ミキシング担当などの仕事。結果的にいい番組となり、できる限り多くの人たちに見てもらうことができれば、ぼくら裏方の仕事は大成功と言える。

ぼくが「番組構成師」というふざけた(と思われること多々あり)肩書きを名刺に入れているのも、裏方に徹したいから。ぼくは「作家」ではなく「職人」でありたい。表には出たくない。

なのに、たま~にだが宴会やパーティの席で発言を求められることがある。もう、ほんとに、死ぬほどイヤ! 番組制作スタッフの代表はディレクターであり、目付役のプロデューサーもいるのだから、彼らのコメントで十二分のはず。構成係にまで話を振らないで欲しい。

番組が光るかどうか、それは取材スタッフが収集してきた映像と音という素材でほぼ決まる。どうにも手の施しようがない素材を裏方の力で光らせることは、はっきり言って不可能。誤解を招くかも知れないが、「番組はディレクターの力量を超えることはない」のだ。

「じゃぁ、なぜ構成係のお前が存在してるの?」

そんな素朴な疑問が、実は自分自身でも湧く。そのたびに、う~ん・・・・・・と頭が痛い。構成係がいなくても番組は成立するのは確かだから。

で、う~ん・・・・・の上に到達する存在の根拠は、自分が裏方として関わり、ディレクターのサポートをすることで、彼または彼女の能力を最大限に発揮するサポートができるのではないかということ。

考えてみれば、吹けば飛ぶような根拠だけれど、裏方には裏方の思い入れがある。トム・ダウドのような、「著名な裏方」になろうとはさらさら思わないが、手がけた仕事は、職人として最善を尽くしたと言えるものでありたいとは思う。


しかし、そう言って胸を張り切れない場合が多いのが問題なのよね~。

がんばらねばぁ。


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