番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


旅から戻る。


ふだんは夜0時前にはフトンに入る早寝オヤジなのだが、たまにホテルに泊まるときゃほきゃほ昂揚するタイプなので、おとといは4時近くまでなにをするでもなく起きていた。

で、何時に寝ても6時には一旦目が覚めるほとんどジジイ状態でもあるのだが、きょうの朝はなにを思ったか5時ちょい過ぎに目が開いた。1時間半くらいしか眠ってないので、へろへろ眠いのだが、眠れない。

仕事は10時から。ヒマ。

泊まった部屋にはコインを入れる方式の有料放送があったので、お金を入れてON。あらら、ハードコアが始まった。こんな時間にも放送してるのね。たいしたもんだ。しかし、朝5時から見る気にゃなれん。

有料放送はもう1チャンネル、映画専門チャンネルがあった。そちらではモハメド・アリのドキュメント映画『モハメド・アリ かけがえのない日々/ WHEN WE WERE KINGS 』をやっていた。


  → 『 モハメド・アリ かけがえのない日々/WHEN WE WERE KINGS


「あら、アリじゃん」

ぼんやり見始めて、そのまま見入ってしまった。


映画は、アフリカ、ザイールで開催されたジョージ・フォアマンとの対戦を中心に、人間モハメド・アリを描き出していく。

ベトナム反戦、徴兵拒否をし、常にアメリカにおける黒人の社会的地位の向上を訴えていたアリは、ザイールの人々に熱狂的に迎えられる。一方、彼らに黒人としての誇りを見たアリは、アメリカ社会におけるアフリカ系アメリカ人の置かれた状況をかえりみ、自らのルーツを改めて知ることになる。

「オレはアメリカに住んでいるが、アフリカこそが黒人の故郷だ。
400年前、オレは奴隷だった。そして今、オレは兄弟たちの前で闘うために
故郷に戻ってきた。オレはこの一戦で兄弟たちを自由に出来るんだ」


う~ん、深い・・・・。

なんて、別にまなじり決して見ていたワケではないけれど、アリの速射砲の如く口から飛び出す扇情的な、しかし、真実を含んだ言葉、言葉、言葉。天才だわ、この人。

ボクシングの実力としては、若く力強いフォアマンが上なのだろうが、カリスマ性という点ではアリの足下にも及ばない。

アリを讃えるザイールの人々は、口々にこう叫び始める。

「アリ、ボンバイエ!」

そう、のちに「猪木、ボンバイエ!」でぼくらも知ることになるあの言葉。

「アリ、ヤツらを殺しちまえ!」

そんな意味だということ、初めて知った。


試合は周知の如く、だが、当時は誰も予測していなかった結果に終わる。アリがフォアマンをノックアウトでくだしたのだ。

改めて見ても、鳥肌が立つようなシーン。


その後、アリは脳神経が徐々におかされていくことになる。

あるとき、失読症が進んだアリは、ハーバードの卒業式に招かれ、演説した。用意していた原稿をほとんど覚えることが出来なかった彼だが、その語りは学生たちを魅了した。

感極まった卒業生が、叫ぶ。

「 Give us a poem ! 」

すると、アリは口を開き、ひと言、こう言った。

「 Me,we.」


寝不足の目玉から、涙が、だ~。

朝っぱらから、泣けた。

「 Me,we.」


うん、そばにいなきゃね。



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