番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


こんな番組の制作に参加した。

  → 『ほたっちょけ ~元総長のふれ愛義塾~』

福岡県田川市に住む工藤良さん(29歳)は、暴走族の元総長。仲間を率い、夜道を爆走していた。暴走族を離れてからもすさんだ生活を送り、覚醒剤で逮捕された経験もある。

  → 工藤良さんプロフィール

工藤さんは、今年2月、アパートの一室を借り、塾を開いた。その名は「ふれ愛義塾」。塾と言っても勉強を教える学習塾じゃない。若い子たちの居場所として、工藤さんはこの塾を開いた。

家庭にも、学校にも、自分の居場所を見つけられない若い子たちが、昼に夜にやってくる。工藤さんは彼ら彼女らを叱りつけるわけでもなく、意見するわけでもない。ただ、アパートの一室で若い子たちと一緒にゴロゴロしつつ、彼ら、彼女らの話に耳を傾け、時に言葉をはさむ。

親や、教師に反発を感じ、諭す言葉には頑なになってしまう若い子たち。しかし、工藤さんの何気ない言葉は、若い子たちの心に浸みていく。


タイトルの「ほたっちょけ」は、福岡・筑豊地方の言葉で「放っておけ」の意味。しかし、工藤さんがこの言葉を使うときには「見守る」というニュアンスが加わる。細かいことは言わない、本人が気づくまで「ほたっちょ」く。でも、決して見放さない、徹底的に「見守」り続け、待ち続けるのだ。


番組のHPには、いろんなページが用意されている。その一部。

  → ディレクター日記

  → “ほたっちょけ”掲示板

掲示板には、いじめや不登校に苦しむ若い子たちやその両親の思いが書き込まれている。


12月4日。番組の試写会と記者発表が行われた。下記ページで記者会見の様子が動画で見れる。

  → 記者会見風景

ナレーションは泉ピン子さん。長い芸歴で、ナレーションは初めての挑戦というのは意外だった。





制作を終え、あとはオンエアを待つばかり。でも、気分はちょっとブルー。それは、番組が放映される時間がひどいから。

  → 各局放送時間

制作局のRKB毎日放送(福岡県)でこそ、午前10時半からだけど、基幹局のテレビ朝日は午前4時55分から。まだお日様もチラリとさえ顔を見せていない真っ暗な早朝に、誰がテレビを見るんだろうか? それも、こんなカタい内容の番組を。

その上、オンエア日は正月7日の日曜日。そろそろ冬の休みも終わり、正月気分から離れて社会復帰しなければならない。そんな憂鬱な時期に、朝の5時前からテレビを見てくれるのだろうか?

いやいや、問題は視聴者側にあるわけじゃない。番組を放送する局側の問題だ。局はこの番組を広く、多くの人に見て欲しいと考えているのだろうか?

考えてないな、きっと。「流せばいいや」程度にしか思ってないのだろう。

対象者の説得から取材と、現場に何度も足を運んだディレクターやカメラマンはじめ、記者会見をセッティングし、上記HPを立ち上げ、工藤さんや泉ピン子さんの動画を掲載したプロデューサーなどスタッフたち。その意欲をどこまで「局」が認めているのか。その度合いがこの放送時間にあらわれている気がする。

悲しいね。登場人物はじめ、協力してくれた人たちにも申し訳ない。

ま、テレビ局の編成事情を嘆いても仕方ない。儲からない番組は視聴者の目に触れにくい時間帯に押しやるのは当然。そんな風に「局」が思っている限りはね。

しかし、寒い正月の早朝、人目に触れず流れ、消え去るにはもったいない番組。いじめや不登校に悩む子供たちやその親御さん、そして先生たち。さらには、やりたいことが見つからない若い子たちに、ぜひ見て欲しい。いろんなヒントが見えてくると思う。





全国の民放が加盟している日本民間放送連盟には、

『青少年の知識や理解力を高め、情操を豊かにする番組を、各放送事業者は少なくとも週3時間放送する』

とする取り組みがある。「1日に3時間」ではない。1週7日間、168時間ある中の「少なくとも3時間」。べらぼーに少ない気がするが、民放各局はこの取り組みに基づき、若い人たちに見て欲しい番組を選定している。それは、こんな番組群。

  → 青少年に見てもらいたい番組(2006年秋)

どうだろう? ここにあげられた番組が『青少年の知識や理解力を高め、情操を豊かにする番組』たちなんだろうか?

いろんな考え方があるだろう。でも、まず第一に、テレビ局の制作現場にいる人たちは、この「1週間に少なくとも3時間、青少年にタメになる番組を流す」という民放連の「取り組み」のことを知っているのかなぁ?

知らないだろうな、きっと。




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