番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


不二家の社長さんは辞任するそうだ。誰にも実害が出ていない現状で、かつ法的にも違反しているかどうか定かでない中の引責辞任ってのも奇妙だと思わなくもないけど、社内倫理のルーズさを示す事例がこんなにズルズルと出てくると、創業者のお孫さんも身をかわしきれなかったんだろう。

個人としての社長さんはお気の毒とは思うし、辞めればいいってもんでもない。これで「責任をとった」と思ってしまうぼくら消費者もルーズで甘い。

しかし、この事件が表に出てきた経緯は、どうもムカつく。

問題が明るみに出た当初、不二家は「再雇用したパートの判断が甘かった」と公表した。社員ではなく、臨時雇用の人間が過ちを犯したと記者会見を通じ、世の中に発表したのだ。そう言った担当者は「パートのモラルが低かった。社員はキチンとしてるよ」と言わんばかりの口調と表情で、ぼくはその記者会見をテレビで見たときに「あ、ウソだな」と思った。

あとで知ったことだけど、この問題自体、臨時雇用の人による内部告発から明るみに出たという。それに対し、調査した会社側は表沙汰になると「雪印の二の舞になる」とした。公表すべきだとした幹部はひとりもいなかったそうだ。それが昨年の11月。隠蔽と言われても申し開きはできないだろう。

そして、期限切れの牛乳その他の原料を使用する命令を下したのは上司で、担当者から工場長までその事実を知っていた工場もあると今朝の新聞では報道されている。なんのことはない。モラルが低下していたのは社員であり、それを組織している会社じゃないか。内部告発した臨時雇用者がいなければ「いいよいいよ、このままで」状態がずっと続いていただろう。

なにか事があると企業は社員を守ろうとする。それは当然なのだろう。「社員」なのだから。しかし、企業が行っている経済活動の多くの部分はパートや契約社員などが担っている。賃金を低く抑えられ、しかし、仕事の内容は社員と同じ。そうした多くの人がいるから、世の中はキチンと回るのだ。

それを、不祥事だからパートに責任を押しつけちゃえとする企業体質。信じられないね。でも、決してまれな例じゃないだろう。

最初に記者会見した担当者の表情を思い出すにつけ、「臨時雇用者をナメんじゃないよ!」って、思ってしまうのだ。「社員よ、しっかりしろよ!」ともね。

雇用主・企業体から手厚く保護され、安穏としていられる特権を持つ「社員」は、自らの組織を守るということがどういうことかを考える責任も負う。その重い責任があればこそ、組織員たり得る。既得権を後生大事に抱き締め、言われたことだけを盲目的にやり続けるだけじゃ、組織にとってもマイナスにしかならない。

「社員」こそ、ときには我が身を斬って悪い血を流すことも必要なのだ。保身ばかりじゃなくてね。


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