番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


あっちこっちをウロチョロしてて、日記もすっかりご無沙汰してしまった。以前は携帯から更新していたのだけど、機種変更したら使い勝手が変わって、ここにアクセスするまでに時間がかかるようになってしまい、ついつい白紙の日が続くことに。あかんな。。。

なんて、自分のページなのに言い訳をするのも妙な話だけど。

ウロチョロしてると新聞がたまる。仕事柄、新聞はきちんと読んでいなければならないとは思うものの、日々の朝刊・夕刊でさえ全ページを読むことはほとんどないぼくが、積まれた新聞を読破するハズがない。

なのに、やっぱり仕事で必要かなぁと思って沖縄の新聞も購読してたりするから、ちょっと留守にすると郵送形態の新聞が机にほんとに山積みになる。

そのままリサイクルに出すのも気が引ける。かと言って、全部読む気力無し。で、パラパラめくりながら見出しだけを見るというおおちゃくなことを始める。ま、見出しだけでも記事の内容はなんとなくわかるしぃ、と、これもまた言い訳だな。

脳みそ空白状態でひたすら新聞に目を落としていて、びっくりしたのが下の記事。朝刊の一面に大きく掲載されていた。


「沖縄タイムス」2007年2月6日付
夜間中学


記事の内容は、沖縄・那覇市の自主夜間中学(私立の夜間学級)である「珊瑚舎スコーレ夜間中学」で学ぶ60代、70代の女性7人に対し、沖縄県の教育庁が「中学校を卒業したと認定する」と決めたということ。この措置により、同夜間中学の卒業生は定時制・通信制の高校への進学が可能となった。

  → 沖縄タイムス 記事

  → 珊瑚舎スコーレ 夜間中学

ぼくがこの記事にギョッとしたのは、昨年の初夏に同夜間中学を舞台にしたドキュメンタリー番組の制作に参加したから。番組の流れを作るのがぼくの役割なので、ディレクターやカメラマンが取材してきたテープを見ることから始まるのだけど、モニターに出てくるお年寄りたちの、学ぶことへの意欲や楽しげな様子を見ていろんなことを考えさせられた。

授業中の熱心さにも驚いたけど、一番心ひかれたのは、休み時間の皆さんの生き生きとした、若々しくも愛らしい姿。たわいない会話が本当に楽しそう。

そう、戦争や貧困で満足に学校へ通うことが出来なかった生徒たちには「クラスメイト」がいないのだ。

ぼくには思い起こせる教室があるし、頭に浮かぶクラスメイトがいる。いたずら小僧もいれば泣き虫もいた。愛らしい女の子もいれば、腕相撲をしてもねじ伏せられる怖い子もいた。みんなでバスに乗って社会見学へ行ったり、運動会や文化祭などいろんな行事もあった。

その中にはイヤな想い出もあるけれど、夜間中学へ通う生徒たちは違う。そのお年寄りたちには思い出す光景そのものがないのだ。そのことに気づいたときは、ちょっとショックだった。居て当たり前の同級生たち、級友、クラスメイト。あって当然な修学旅行や卒業式。ぼくにはあるそんな想い出をお年寄りたちは持てなかったのだ。どんなに「持ちたい」と願っても。

あるお年寄りは、こう言っていた。

「近所のお友だちが『きょうは同窓会』なんて言うのを聞くたびにうらやましくて。私にも同級生が欲しいと思いました」

まいったね。。。。。


九州・沖縄には公立の夜間中学はない。ぼくが住む地方は在日朝鮮・韓国人の人たちが多く、彼ら向けの夜間中学(夜間学級)は昔からあるし、その活動も盛んだけど、それは学生をはじめ民間の人たちの熱意に支えられている。公立の小・中・高等学校の教室を借りて毎夜行われる民間の夜間中学。

妙な話だ。

公立の夜間中学を設立するのは、地方自治体の教育長の裁量らしい。要するに教育長が「いいよ」と言えば、公立の夜間中学はできるらしいのだ。簡単じゃん。

義務教育を終えることができなかったけど、今、ようやく学ぶ余裕ができたお年寄りがいる。その人は、学校に行きたいという切なる希望を持っていて、「中学を卒業した」ことを証明する卒業証書が欲しいと思っている。

それって、当然の思いなんじゃない? 教育長は何をしとるねん。はよ「いいよ」って言わんかい。

でも、現実には「いいよ」と言う教育長は、日本全国を見渡してもほとんどいない。行政には行政の、いろんな難しい事情やプロセスがあるのだろう。


義務教育って言うけれど、それは「学校に行く義務」じゃない。「教育を受けさせる義務」で、それは親の、ひいては国の責任のはず。戦争や貧しさで学校へ行くことを断念せざるを得ず、義務教育を終えることできなかった人たち。そんな人たちにその権利の完遂を国が保障するのは当然のことのように思えるのだけど。


今回の沖縄県の「卒業認定」は、あくまで「特例措置」。この「珊瑚舎スコーレ夜間中学」が公の「夜間中学」と認められたのではないけれど、那覇の繁華街で、卒業証書を出して欲しいというビラを配り、署名を集めていた夜間中学に通うお年寄りたちには朗報だ。

記事には「高校に挑戦できるなんて夢にも思わなかった。合格したら、卒業まで必死にがんばりたい」という60代後半の女性の話が掲載されている。こんな切なる思いをぼくらは持ったことがあるだろうか?

ないな。。。。。。でも、卒業証書が出そうで良かった。



しかしなぁ、この記事が載った新聞って2月6日付けだもんなぁ。きょうはもう23日。その間、オレってなにしてたんだろぉ?

夜間中学で学ぶお年寄りたちの姿を思い出し、反省しよ。



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