番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


タクシーに乗ったら運転手さんとテレビ番組の話になった。

「もうテレビちゃ、見とうもなかばい、あたしゃ」

「あら、なんでですか?」

「なんでて、み~んな同じ番組ばっかりでしょうが。ありゃ、テレビ局が真似ばしあいよるだけやん。出てくるタレントも同じ顔ばっか。グルメに温泉だらけ、食えもせん高~か料理ば品がない姉ちゃんがベロベロ食うて、うまか~とか。最近にゃ、地元の番組にも芸能レポーターが出て、誰と誰とがあやしいとかくっついたとか、アホらしゅうて見てられますか、旦那さん?」

旦那さんって、振られてもねぇ…。

確かにアホらしい。アホらしいけど、そういう番組をよりたくさんの人が見るのよね。確実に儲かる道を歩むのが商売の王道でしょう。違う番組を提供する度胸が局には無いってとこにも問題はあるけどね。

って、心で答えつつ、

「確かに同じような番組、多いですよねぇ」

「旦那さんもそう思いしゃるでしょ? だいたいが作りが手抜きやもん。じっくり取材もせんと、殺人事件とかも鬼の首とったみたいに顔だけ深刻そうに話すやろ。みんな犯人扱いやん。偉そうに、お前ら警察か!て言いたか」

テレビは見とうないと言いながら詳しいね~、運転手さん。

そうねぇ、偉そうやなぁって感じることはぼくもよくあるよ。我こそ正義なりって憤りに声ふるわせて、でも話の大半が推測だったりね。どこまで自ら取材してるんだろうっても思う。活字メディアと違って証拠が残りにくいから、訂正も謝罪もおざなりだしね。

手抜きかもしれん。長い年月をかけての取材も少なくなってきた。ある局は年度の終りに、継続する取材の発展度を審査するとか。その基準のひとつは、会社に利益をもたらすか。

私企業だから当然だけど、この「利益」が経済的にプラスか否かということならば、ドキュメンタリーなんて両手を挙げて降参だな。スポンサーがつくことさえ稀なんだもの、儲かる見込みが立つはずはないわねぇ。

確かに年度をまたいだ取材は減っている。出来事って瞬間芸のようにいきなり起こって消えるわけじゃない。原因があって結果につながるわけだから、コツコツ長く細く追う必要もある。それが、取材三回で終わらせろって言われてもね、そりゃムリだし。ディレクターだってキツイ仕事はしたくなかろう。

「見れば見るだけ腹が立つけん、もう見ろうごとなか」

と言い切った運転手さん。でも、きっとテレビを見続けるんだろうな。


この書き込みをしていると、某局のディレクターからTELあり。もう現場に疲れた、異動するかも、だって。やる気と力のある人材が、またひとり、現場から減るのかな…。

この先、どうなることやら。
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