番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


番組制作の中でぼくの役割と言えば、「こうしたい」というディレクターの意向にできるだけ沿うように考えながらも、「そんなんじゃワカラン」と言い放つという、言いっぱなしの責任取らずみたいなところがあって、時に辛い。

現場のスタッフが、苦労に苦労を重ね、泣く思いで撮ってきた映像やインタビューも、必要ないと思えば「いらんね」と言わにゃいかん。

この仕事を始めたころ、元号が「平成」と改まったころは、編集の現場ではぼくが一番若いくらいだったし、だからこそ、無慈悲と思われるようなことも平気で言えた。

誰が何と言おうと、要らないものは要らない、つまらないものはつまらない、分からないものは分からない。制作者側が分かっていても、それが見ている人に理解できなければ意味がない。それをひとりよがり、ひとり相撲って言うんだよ。

なんてことを目上の人間に言っていたのだから、聞く方はアタマに来たことだろう。「殴ってやろうかと思った」とは、番組打ち上げの時に聞いたディレクターの回想。さもあらん。しかし、反論もビシビシ来てたから、編集現場は議論の場ともなった。

今は制作現場、編集現場でもたいてい最年長。敬意を払ってくれるのか、老人扱いされているのか、ぼくが言うことに対してなかなか反論が返ってこなくなった。納得していそうじゃないのに、「はい、わかりました」なんて言われると、肩透かしをくったような気にもなる。

何より、議論を交わしていた昔より、ぼくの言葉がすんなり通る今の方が、胃が痛い。反論が返ってこないのは言いたいことをガマンさせてるんじゃないかしらん?とか、な~んにも意見を持っていないんじゃなかろうかとか、いろんな余計な思いがアタマの中を駆けめぐる。


打合せなどを終えてひとりになると、あぁ、きょうも言い過ぎた…と思って落ち込んだりする。もともと言葉遣いが荒いのが、ちょいと熱がこもると抑圧調になってしまったり。年相応に、そろそろ老成せねばねぇ。


気弱になったのはトシのせいかしらん。だったら、自然な変化で仕方のないことだけど、自己規制の現れだったら非常にマズイな。尻が軽いのと、言いたいことを言うことだけが、構成係としてのぼくのセールスポイントだし。「おっしゃるとおりでございますぅ」なんて、ぼくが幇間、太鼓持ちになってもしゃぁないし。


でもなぁ…、ここんとこずっと気弱じゃ。
あぁ、胃が痛い。
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