番組構成師 [ izumatsu ] の部屋

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きのう、全巻仕入れた「めぞん一刻」、午前2時までに読み終えた。

あ~、おもしろかった。

連載中はときどき読んでいた程度、それも全体のストーリーの後半以降だったので、物語当初のギャグ度80%的時代のことはよく知らず、「こうだったのかぁ、へえ~」と新たな印象を受けつつラストまで読めた。

ぼくの学生時代の友人で、大学1年の時は同じクラスだったのだけど、どうしてもあのT大に行きたくて再々トライし、ぼくが2年になる春にはめでたく赤い門をくぐったU君は、東京はど真ん中、皇居にほど近い一等地に実家があり、そこから大学に通ってた。

そのU君が惚れ込んでいたのが「マカロニほうれん荘」(「ひざかたさん」にあこがれていた)と、この「めぞん一刻」。

彼は、屋根をひとつにする住人たちの、ありそうで決してあるはずのない集団生活を夢見ていたけれど、実家が千代田区にあるがためあっさり通学できるのでその夢が実現するはずもなく、悶々とする日々を過ごしていたっけ。

そんな彼にチャンスが訪れたのは確か大学3年になるころか。

実家がいわゆる地上げにあい、山手線の外へと移らねばならぬはめになり、彼はこの時とばかりを家を出て、井の頭線の明大前駅にほど近いアパートでひとり暮らしを始めたのだった。

引っ越しを手伝ったときに初めて訪れたそのアパートはあの時代でさえ「古い…」と思える外観で、玄関のたたきは昼寝が出来るほどに広々と、そこからまっすぐつながる階段は幅一間以上もありそうな、よごれよごれて黒光りし、階段落ちをしたらさぞかし爽快だろうとほれぼれするほどの角度で彼の部屋がある2階へと続いていた。

2階のどん詰まり(だったかな?)にあった彼の部屋は6畳一間に炊事場もどき流しがついたありがちなタイプだったけど、畳というのが昔のサイズ(京間と言うのかな?)で普通の6畳よりもひとまわりは広く、南と東に開いた窓はどちらも出窓になっていて、その、夜行列車の3段寝台に似た出っ張りも昼寝が出来そうに広いのだ。

窓の外には桜の大きな古木が陽の光をゆるやかに遮り、彼の部屋にちらちらとした柔らかな陽射しを届ける。

「エエな~」

四畳半住まいのぼくは心底、そう思った。


U君は実家を出た自由と「一刻館」さながらの新居にとっても嬉しそうだった。

そうそう、彼の部屋の下には女性の管理人さんがいて、でも「響子さん」のような若く美しい未亡人であるはずはなく、人生の酸いも甘いも知り尽くしているに違いないおばあさんだったのはちょっと残念だったようだけど。


引っ越しが終わり、その「疑似一刻館」に遊びに行ったのは桜の花が散り始めたころだった。

U君と一緒に部屋に入ると、畳の上に桜の花びらがひとひら、ふたひら、舞っている。

「あら~、風流やなぁ!!!」

驚いたら、彼は、

「そうなんだよ、窓がきちんと閉まらなくてさぁ。すき間から入って来ちゃうんだよね。掃除が大変なんだよ」

出窓の磨りガラスの窓は確かに傾いていて、閉めても1センチ弱ほどレールの上にすき間が開くのだった。


夜、広い6畳にありったけの布団を出して寝転ぶと、とととととたとた、天井裏の端から音がし始め、それが夜が更けるにつれ縦横無尽、まるで運動会の徒競走さながら。

我が四畳半にも時折顔を出していたけど、ここまで堂々と音を立てるねずみたちにはお目にかかったことがない。

でも、U君は初めてのひとり暮らしに至極満足しているらしく、「な、あの音で眠れないんだよ」と漏らして間もなく、すーすーと寝息をたて始めた。


学ぶことが大好きな彼は、18年間、大学へ通い、身体の声に耳を傾け、「気づき」に気づくことに興味を覚え、アメリカまで「気づき」を学びに行った。


アタマの中に浮かぶ「…?…」をかかえながらそれぞれ互いの道を歩むようになると、どうしても会う間隔があいてくる。

U君の下宿暮らしとそれ以降、なにがあったのか、ところどころ知ってはいるけれど、それがひとつ線としてはつながらない。

意図してなのか、結果なのか、今のところ独り身を通している彼は、明るいお母さんとふたり、地上げで引っ越した実家に暮らしているはずだ。


なぁ、あの疑似一刻館、まだ建ってるかなぁ?


・・・もう一回読も。




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