番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


♪今日のBGM=Spyro Gyra 『Morning Dance』


「見えないよ」


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先日、テレビの取材に同行した。
久しぶりのこと。

普通、ぼくは取材に同行しないことにしている。
それは、別に移動その他が面倒くさいからではなく、
ディレクターと同じ感覚になることを避けるため。

苦労を共にすると、

「あぁ、このときは大変だったよね」

そんな、戦友のような感情にとらわれることがある。
そして、

「大変だったから、使おうか」

と、インタビューや映像などを採用することになりかねない。
それは、仕事仲間としては心地よいことかもしれないけれど、
番組作りの上ではマイナスだとぼくは思っている。

「取材にどれほど苦労しようとも、どんなに金をかけようとも、
必要ないものは使わない」

それがぼくの(立ちたいと思っている)スタンス。
「要らない」と言うこと、それだけがぼくの存在意義。
ディレクターと同じ感覚になってしまったら、存在する意味がない。

だからと言って「取材には絶対同行しない主義」を貫いているわけでもない。
好き嫌いで言えば、現場で話を聞く方が変化もあるし楽しいし、
部屋で取材テープとにらめっこしているよりも好きではある。

だから、たまに同行できると嬉しい。
言行不一致、優柔不断。
まぁ、たまにはこんなことでもないと、部屋にこもってばかりはいられない。

その先日の取材で、印象に残る話をふたつ、ふたりの方から聞いた。
そのひとつは、某研究者のお話。
戦争論や戦争責任を研究のテーマとしているその方は、
今という時代について、こんな話をしてくれた。

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「今の状況を見ていると満州事変以降30年代と非常に似ている。
満州事変から日本の戦争は、既成事実を作っていくわけですね。そうすると最初はおかしいと思っていても、いったん満州を取ってしまえば『それはそれでいいじゃないか』と。
更に次の段階に現状追認で、起こってしまったものは仕方がないんじゃないかという形で追認していくという。
本当は元々そこの出発点がおかしいのであって、元から考え直す必要があるんだというのを考えないで、既成事実をどんどん追認していくんだというそのパターンを、また今も繰り返してしまっているんじゃないかという風に感じてます」
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話を聞きながら、“現状追認”、その通りだと思った。
イラクに自衛隊が派兵されて以降、ぼくらの多くは、
かの国で日の丸つけた車両が走っていることを当然のように感じている。

派兵後、ある新聞社による世論調査では、派兵賛成が5割をこえた。
それまで一度も半数をこえたことがなかったのに、
行ってしまうと、「反対してもしょうがないや」ということなのだ。

優柔不断、出たとこ勝負。
建て前と本音、人生いろいろ。

その意図するところ、水の如し。どんな形にも変われます。
世界に冠たる経済大国を生んだ日本人の柔軟性。

それは、異国の人には奇妙に見えるところでもあるらしい。

「既成事実を追認していくパターン」
戦争への道は、国の動きを傍観している間に、着実に敷かれていく。
気づいたときには、自衛隊員と共に砂漠を走っているかもしれない。
そのときのぼくは兵隊と化し、自衛隊は正規の軍隊となっているだろうけど。


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取材で心に残ったふたつ目のお話は、
某研究者のこの言葉と呼応する、示し合わせたかのような内容だった。

ふたつ目の言葉は、某研究者、って前の言葉を発した方と同じ表記じゃわからない。
こちらは女性の方なので“某女史”と呼ばせていただこう。
某女史は、戦争への道についてこんな風に語ってくれた。

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「戦争はね、ある日突然はじまるわけじゃないんですよね。
戦争へのプロセスがあって、ひとつひとつが決定されて行くその時に、私たちがどう意見をいって、それに対して政府と違う、やはり戦争を阻止するために『私たちはその意見は反対です』、例えば『イラク派遣は反対です』と言えるのか? 言って行くのか。これが、私たちが責任を取って行くことだと思うんですね。
だから、何も行動しない、何も発言しないということは、最終的にはその結果の責任を問われてもそれは引き受けざるをえないんじゃないか、というのが私の考えなんです」
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どの道を行こうと、それはぼくらの責任ということ。明快だ。

何も語らない、沈黙するということは、賛同すること以上に権力者を喜ばせる。
消極的であろうが、積極的であろうが、
議会制民主主義唯一の義務であり権利たる投票行動を行わないことは、
権力側の皆さんに力を与えることになる。

先の選挙で、ぼくは久しぶりに投票に行かなかった。
なんじゃかんじゃと忙しかったこともあるけど、
一番の理由は、当選する人物が事実上決まっていたということ。
実際、開票速報では、開票率1%未満にもかかわらず、『当確』が打たれていた。

これじゃなぁ・・・・・と思うことが間違っとるっ!!

「あんたやあんたの仲間の政策に、ワシは反対でっせ」

その意見表示として、対抗候補にぼくの一票を投じるべきだった。
それが一番簡単な、ぼくの思表明方法だったのに。
もったいないことをしたなぁ。

次の参院選が楽しみだっ。

しかし、テレビ局同士、スピードを競っているのはわかるけど、
開票率1%未満で『当確』はないだろう。
候補者にも、有権者にも、失礼だと思うのだけど。


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『20世紀は戦争の時代』

いつの間にか、こんな呼び方が通用するようになった。
歴史を残すようになってから、そうじゃなかった世紀があるのか疑わしいが、
21世紀は平和な時代になって欲しいという願いの裏返しのような切なる言葉。

しかし、イラクへの派兵に引き続き、
「多国籍軍に参加します」と世界に向かって宣言した日本。

「あれは目立ちたがりのおやじの戯言だ」

そう言えないところがつらい。
あのおやじは、ぼくらの代表なのだから・・・・・・ほんと、つらかね~。



番組構成師の部屋


“ネコ助-Aoi's Room”

誤字脱字奇妙な変換をようやく修正。まだあるかも。
これからは書き込む前に見直そう。かなり反省。

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はじめまして、最近思うのですが、民主主義って多数決の独裁じゃないかと。
 自衛隊の多国籍軍入りにしても、充分な議論なしに(いくら議論しても結果が最初から決まっているところが矛盾ですが)決まってしまい、軍靴の響きは聞こえてきます。
 我々大人が若いこれからの人にしてやれることというのは、自国防衛以外の戦争をしないことだと思います。
 少しずつ、少しずつ前と同じ道を通るように仕組まれてていくようです。
 

2004.06.11 20:16 URL | uland #79D/WHSg [ 編集 ]

izumatsu先輩、こんばんは。

怖いなと感じているのは私たちだけじゃないね。
でも、気づいてない人もいる。
気づいていても、あの時とは違うという人もいる。
だけど、確実に始まっている。
日本はある方向へ向かって動き出している。
言いようのない不安がいつもつきまとっているよ。
この国はいったいどこへ行こうというんだろうね。

絵本「戦争のつくりかた」のサイトです。
http://www.ribbon-project.jp/book/" target="_blank">http://www.ribbon-project.jp/book/

2004.06.11 22:45 URL | うるとびーず #79D/WHSg [ 編集 ]

★ulandさん、おいでませ。

>はじめまして

はい、はじめまして。

>最近思うのですが、民主主義って多数決の独裁じゃないかと。
> 自衛隊の多国籍軍入りにしても、充分な議論なしに(いくら議論しても結果が最初から決まっているところが矛盾ですが)決まってしまい、軍靴の響きは聞こえてきます。

多数必ずしも真ならず、てなことは過去の遺物なんでしょうか。
しかし、今の政府、議会政治を担っている政治家を選んでいるのはぼくらですし、
対外的には(対内的にもですけど)言い訳できませんよね。
軍靴の響きは、実は、国民の総意としてやってくる。そんな気がします。

> 我々大人が若いこれからの人にしてやれることというのは、自国防衛以外の戦争をしないことだと思います。

ぼくはちょっと考え方が違うかもしれません。
若い人は若い人なりに今という時代に責任があり、
どういう未来を築くかは、彼ら自身の責任です。
ぼくは、ぼくら自身の“今”に向き合って生きてきたという自信がありません。
だからこそ、ぼくら世代の今と未来に不安を感じているのだと思います。

> 少しずつ、少しずつ前と同じ道を通るように仕組まれてていくようです。

ぼくらは、その道を通った経験を持つ人の話を大切にしてきませんでした。
それは、取り返しのつかないほど、愚かなことでした。
そんなぼくらの言うことに次の世代が耳を傾けないことは、
至極当然なことのようにも思えます。

2004.06.11 23:25 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

★うるとびーずさん、おいでませ。

>izumatsu先輩、こんばんは。

はい、こんばんは。

>怖いなと感じているのは私たちだけじゃないね。
>でも、気づいてない人もいる。

感じている人は、たくさんいると思います。
感じない人は、度胸があるのか、にぶいのか・・・・・不可思議ですね。

>気づいていても、あの時とは違うという人もいる。
>だけど、確実に始まっている。

気がついたときには、足は思いと違う方向へと向いている。
気づいていても、いつの間にか、やはりそちらを向いている。
それが戦争の道への絶妙なところ。
そんなのやだ、やだぁ~!と、個人的にでも思い続けることがまずできることですね。

>日本はある方向へ向かって動き出している。
>言いようのない不安がいつもつきまとっているよ。
>この国はいったいどこへ行こうというんだろうね。

すでに大きく足を踏み込んで、戦いを始めている国の市民たちは、
その道を進んで行ったとき、そして、人の命が失われ始めたとき、
どんな思いでいたんでしょうね?
その思いと同じ経験をしなければ、ぼくらは学習できないのでしょうか?
実体験したときには、もう遅いんですけどね。

2004.06.11 23:44 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

近頃の開票速報だと投票締め切っていないのに
「当確」出たりしますね。さすがにそれは
どうかとは思いますけど、’98年参院選
みたいに新聞の事前予測と全然違った結果
に今回もなったら面白いんですけどね。それでは。

2004.06.11 23:46 URL | コブラクロー #79D/WHSg [ 編集 ]

★コブラクローさん、おいでませ。

>近頃の開票速報だと投票締め切っていないのに
>「当確」出たりしますね。

そりゃ、いくらなんでも失礼ですよね。
「投票するだけ、ムダでっせ」と言ってるみたいなもんです。

>’98年参院選みたいに新聞の事前予測と全然違った結果に今回もなったら面白いんですけどね。

『当確』を打った人が実は落選、なんてことが以前はありましたね。
予想と違うようになった方が確かに面白いです。
出口調査を担当する人たちには申し訳ないですけど。

2004.06.11 23:59 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

やっぱ街頭、街頭だって。昔から。意思表示は。(なんて、誘ってみたりする)。
かく言ってはみるものの、ちょっとさみしい(数的には)現場だったりするし、複雑・・・。
とにかくお互い、参院選、頑張ろう!・・・と言っても「一票投ずるだけ」ではあるんだけど。

きょうのタイトルみて「地獄への道は善意でしきつめられている」、レーニンの不吉な口上を思い出しちゃった。
でも最後まで、善意も含めて人のこころを信じて生きてゆきたいと思います。

ところで今日の午後。同窓会、行く?

2004.06.12 10:31 URL | ゲリ・ビイツ #79D/WHSg [ 編集 ]

★ゲリ・ビイツさん、おいでませ。

>やっぱ街頭、街頭だって。昔から。意思表示は。(なんて、誘ってみたりする)。

う~む、ぼくは太陽の光&戸外の空気が苦手ですねん(と、逃げを打つ)。

>かく言ってはみるものの、ちょっとさみしい(数的には)現場だったりするし、複雑・・・。
>とにかくお互い、参院選、頑張ろう!・・・と言っても「一票投ずるだけ」ではあるんだけど。

そうですね、投ずる一票に気合いを入れますか。
でも、候補者が誰だか、知らんな~?

>きょうのタイトルみて「地獄への道は善意でしきつめられている」、レーニンの不吉な口上を思い出しちゃった。
>でも最後まで、善意も含めて人のこころを信じて生きてゆきたいと思います。

人にプラスとなる善意はいいけど、プロセス&結果も
他人にはマイナス極まりない善意もあるしね。
人を信じるって、結構、難しいすね。
だから、宗教に走る人って多いのかしらん?
ちょっとちゃうかな。

>ところで今日の午後。同窓会、行く?

へい、出席いたします。何時からだったっけ?
おっと3時から総会か。これから出ないとアカンやろなぁ。
そちらもご出席?

2004.06.12 10:44 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]













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