番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


♪今日のBGM=Rod Stewart 『 The Great American Songbook Vol.II』





遅ればせながら、大リーグのオールスターを見た。

始球式にモハメド・アリが登場し、びっくり。
アトランタオリンピックの開会式で姿を見て以来だろうか。

パーキンソン病で小刻みに揺れる体。
手にした球は投げることなく、マウンドで他の人に渡した。

しかし、ヤンキースのジーター選手を相手にシャドー・ボクシングを
披露したのには驚いた。
病で表情は乏しくなっているが、この人、根っからのショーマンなのだ。

「なんや?」


しかし、イラクでの戦闘が泥沼化しているこの時期のアリ起用。
大リーグ機構も思い切った人選をしたものだと思う。

オリンピック・ヘビー級の金メダリスト、カシアス・クレイ。
レストランで黒人であることを理由に食事を拒否されたクレイは、
金メダルを川へ投げ捨てたと言われる。
そして、教えに人種偏見がないとして、キリスト教からイスラム教へと改宗。
名前もイスラム的にモハメド・アリとした。

ベトナム戦争への徴兵も拒否した、そんなアリを、
国技・野球の、それも年に1試合しかないオールスター戦の始球式に呼ぶ。
そのある意味大胆さに、ちょっと感心。



後日、やはり出た、アリ起用への非難。
ぼくが目にしたのは、“火の玉投手”と呼ばれたボブ・フェラーの言葉。
フェラーは、イスラム教への改宗や徴兵拒否をあげ、
祖国に忠誠を尽くさなかったアリを始球式に起用することの非をとなえていた。

彼のようなとらえ方をするアメリカ人も多いことだろう。

プロのスポーツ選手であろうとなかろうと、
アメリカは条件を満たす若者をピックアップし、戦争へ送り出した。
大リーグの先達には、選手としてのピークを戦場でおくった人も少なくない。

一昨年亡くなった“最後の四割打者”テッド・ウィリアムスは、
42年、三冠王を獲得するも、翌年、第二次世界大戦へと駆り出された。
46年の夏、大リーグに復帰した彼は、翌47年、二度目の三冠王に輝く。
しかし、52年、再び徴兵。今度は朝鮮戦争へと送られる。
軍隊では海兵隊に所属、戦闘機で数十回の出撃を経験した。
その後、大リーグ復帰を果たしたウィリアムスは、57、58年と連続して首位打者に。
39歳、40歳のときだった。

足かけ5年間ほどの戦争によるブランクがなければ、
ホームランではベーブ・ルースを抜き、
通算打点でも歴代トップになっていただろうと言われるウィリアムス。
アメリカ国民としての義務を果たしたこうした選手たちから見れば、
徴兵を拒否するというアリの行動は許せないものなのだろう。
そのうえ、キリスト教を捨ててイスラム教へと改宗した。

しかし、ぼくはアリの行動に共感する。
たとえ国民の義務であっても、間違っていることは間違っている。
それを自由に言えなくなり、行動できなくなったころが日本にはあった。
その時代がまた訪れる。そんな危うさを感じる。



大リーグのオールスター戦は、淡々と進んだ。
観客も、プレーに合わせて盛り上がるときは盛り上がり、
そうでないときは淡々と試合を見ている。

この“淡々さ”が、ぼくは好き。
日本のプロ野球のカネと太鼓にトランペット。どうにかならんもんかと思う。

学生時代は、神宮球場や、今はなき後楽園球場へと結構足を運んだ。
ヤクルトが傘の応援を始めたころだろうか。
名物・岡田さんが応援団長。まだまだかわいらしく、ほほえましい応援だった。

それがいつのころからか、ゆっくり観戦したい観客にも応援を強要するようになる。

わからない。

みんな一斉に嬌声をあげ、カネや太鼓を打ち鳴らすのが応援なのか?
ヘタクソなトランペットで周囲を難聴化するのが応援か?

こんな応援を“一糸乱れぬ”と表現したアナウンサーがいた。
アホかと思う。スポーツ観戦にのめりこんだことがないのだろう。

いつのまにかプレーに引き込まれ、思わず体が動き、声が出る。
プレーで気持ちが高揚し、その“熱さ”が選手たちに向けられる。
それが応援だろう。
そんな自然発生的な心と体の動きが一糸乱れないはずがない。

一糸乱れぬことが応援の優れた形なら、
世界の国々で応援合戦をやれば北朝鮮がダントツにトップ。
追随できる国はない。
だが、あの“一糸乱れなさ”を応援ととらえる人は少ないだろう。

カネや太鼓にトランペット。あれも応援ではない。

「好きなチームを、好きに応援して、どこが悪い!」

などと言う“自称”応援団を見たことがある。 論外。
楽しみ方を知らないとしか言いようがない。

自分と、その仲間だけが楽しめればいいのではない。
球場に来た人すべてが、自由に楽しめなければいけない。
他の人の楽しみをじゃまする行為は、排除されるべきだろう。

静かに観戦したい客も多い。
むやみな音を出さなければ応援できない人たちは、
閉ざされた部屋のプロジェクターの前で、思う存分にやっていただきたい。

自らの自慰的行為を他者に強制的に見せ、聞かせている点では、
北朝鮮の“応援”となんら変わらない“自称”応援団。
あの応援団がスタンドに陣取る限り、ぼくが球場へ足を運ぶことはない。





大リーグのオールスターを見ながら思う。
やっぱり“選ばれた人たち”。この場にいるべきしている選手たち。
そんな感じ。


「しゅぱっ! キャッチ」


日本プロ野球のオールスター戦も見たけれど、粒が小さい小さい。
それは、すそ野の広がり方のせいだろうか。

大リーグは30チーム。
単純に言うと、15チームから投手以外の8人がファン投票で選ばれる。
例えば、一塁手は15人いる各チームのレギュラーの中からただひとりだけ。
誰も選ばれないチームも多いのだ。
(実は、アメリカン・リーグが14チーム、ナショナル・リーグは16チームと、球団の数は微妙に違うのだが)

監督推薦を入れても、オールスターに選ばれる確率はごく少ない。
多くの中から選ばれるから、粒よりだし、選手のモチベーションも違う。
まして1年に1試合だけ。
その球場で再びオールスター戦が行なわれるのはずっとずっと先なのだ。

かたや、日本のプロ野球は、投手を除いて6チームから8人。
1チーム、ひとり以上が選ばれることになる。計算上は。
ポジション別で見れば、6人のレギュラーの中からひとり。

これに監督推薦がプラスされ、
結果として「この人、スターなの?」という選手も並ぶことになる。小粒だ。

小粒でもぴりりと辛ければいいが、プレーの力強さもスピードも、
さらには試合の進行も、大リーグに遅れをとっている。

TV中継も同様で、アナウンサーは、盛り上げようとして墓穴を掘り、
なぜここにいるのかわからないゲストがそれに拍車をかける。
話す内容も、アホらしくて聞いていられない。

これでは客も視聴者も離れていって当然だろう。

今年はパリーグ存続の危機!だったので、
例年になく力がこもった試合だったとは思う。
新庄が走り回って、楽しさをかもし出した。

しかし、それはパフォーマンスとしての楽しさで、
バットスイングの鋭さや、投げる球の重さや速度、足の速さ、肩の強さなど、
プレーそのものの凄みではない。

この小粒なままで、来年からは「東西対抗」になるのだろうか?

「お高いですもん」


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イズマツさんこんばんは。
ぼた山仲間のじゃんばらやでございます。

アリについては私も事実だけを聞いていたのですが、
いろんなパフォーマンスがあったのですね。
私も見たかったです。

私も野球観戦、好きなのですが、
最近はメジャーの試合を見る機会が増えて、
「プロフェッショナル」の違いを痛感します。
でも、それはする側だけでなく、
見る側の質も高いのでしょうね。

アメリカに半年ほどいた頃、
頑張って向こうの新聞を見ていたのですが、
野球解説の分析(その詳細さ)には驚きました。
分析に時間を要しても、その質にこだわっていたからです。
ナマモノしての結果報道の日本とは違いますね。

あおいちゃまも暑さにやられていますか?
暑いのが平気な私も、
ここ数日の暑さには正直まいってしまいそうです。

2004.07.21 23:09 URL | じゃんばらや5933 #79D/WHSg [ 編集 ]

★じゃんばらや5933さん、おいでませ。

>イズマツさんこんばんは。
>ぼた山仲間のじゃんばらやでございます。

お久しぶりでございますね~。復活しましたか?

>私も野球観戦、好きなのですが、
>最近はメジャーの試合を見る機会が増えて、
>「プロフェッショナル」の違いを痛感します。
>でも、それはする側だけでなく、
>見る側の質も高いのでしょうね。

楽しませ方の工夫が足りないとも思いますけど、
観客の方もスポーツを見て楽しむ、その楽しみ方が違うような感じですね。

>アメリカに半年ほどいた頃、
>頑張って向こうの新聞を見ていたのですが、
>野球解説の分析(その詳細さ)には驚きました。
>分析に時間を要しても、その質にこだわっていたからです。
>ナマモノしての結果報道の日本とは違いますね。

アメリカは野球に限らずプロスポーツの分析はすごいですよね。
データの詳細さも細かく、深く、どの方向からアプローチしても
必ず有用なデータ分析がある、そんな感じがします。
野球の記録書なんて、英語がわかんなくてもおもしろいっす。

>あおいちゃまも暑さにやられていますか?
>暑いのが平気な私も、
>ここ数日の暑さには正直まいってしまいそうです。

ネコ助は涼しいところを見つける名人。
あっちでごろごろ、こっちですやすや、だいじょうぶ。
へばっているのは飼い主ばかりでございます。

ただでさえムワッと不快な東京の空気。
その上、40度近いとなるとその不快さは想像を絶します。
体調に気をつけてくださいね。

2004.07.22 08:05 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]













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