番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


恐ろしい言葉を知った。


「およそ戦争という
 国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、

 国民がその生命・身体・財産等について、
 その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、

 それは、国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、
 すべての国民がひとしく受忍しなければならない」


1980年12月11日、厚生大臣の諮問機関「原爆被害者対策基本問題懇談会(基本懇)」の答申に含まれていた言葉。すでに周知の言葉なのだろう。被爆者の間では『基本懇の受忍論』と名付けていたそうだ。知らなかった。


戦争でぼくらがどのような犠牲を受けようとも、それは国民として堪え忍ぶべき『一般の犠牲』に過ぎないという、この信じられない文章は、よりによって原爆の被害・後遺症に苦しむ人たちに向けて発せられた。


放射能に汚染され、今なお外傷や体内被曝による後遺症に苦しむ人たちに向かい、「がまんして当然」と言い放つこうした文章を編み出した人間たちはどのような人たちなのだろう? 学者など“有識者”と呼ばれる人たちなのだろうが、他の人間にふりかかった苦しみを自らのものとして考える姿勢がみじんも見えないのは、同じ人間として恐怖すら覚える。

上記文章が言うように、戦争は確かに国の存亡をかけて行われるものだろう。しかし、戦争までに至る過程を省みることなく、ただただ「非常事態だから堪え忍べ」というのは帝国主義の時代と変わりない。国の責任をまったく問おうとしていないのも、「お国があるから、お前らがいる」というお上思考から導き出されたものだ。


しかし、この25年前の文章。今は当時以上に賛同する人たちが多いのじゃないだろうか。そう思うと、戦慄を覚える。

小泉さんの煽動により自民党が圧勝した政治の場では、憲法改悪の準備が着々と進んでいる。各種世論調査によれば憲法に手を入れるべきだと考えている国民は50%前後にも達している。憲法をいじり、九条を書き換え、自衛隊を軍隊とし、社民党じゃないが日本を「戦争のできる国」にしてもいいと考えている人が半数いるということだ。

日本国民の半数を占める人たちは、家族が命を落とそうが、すべての財産を失おうが、それは「国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、すべての国民がひとしく受忍しなければならい」こととして堪え忍ぶ覚悟があるのだろうか?

ぼくには、そんな覚悟、まったく、ない。
戦争が起こったら、青くなって逃げ出す。


しかし、わからんのは、憲法をいじってもいいと思う一般の人たちの心情。ぼくは、なにを、どう考えても、なぜ憲法を、第九条をいじらなければいけないのかいまだにまったく理解できないのだが、それはぼくが時流に乗り遅れているということなのだろうか?

頭曲がれば尾も曲がる。犠牲を強いる社会へと突っ走る暴走電車に目隠し状態で乗るくらいなら、ホームに取り残された方がいい。

ほんのちょっとしたこと、たとえば、今回の衆院選での自民党圧勝と、それを現実のものとした有権者の一票が戦争への道をより可能にしていく。投じた側にとっては郵政改革への賛同の一票にすぎなかったのかもしれない。が、権力の座に座る方は、圧倒的多数の国民の信任を得たと言い換えることが可能だ。

やはりぼくらは、郵政改革だけでなく、憲法改悪にも、税制改悪にも、その他多くの自民党主導の政策・議案にも賛同の一票を投じたことになる。投票することへの思慮の浅さが、結局は僕ら自身の未来をせばめ、自分の首を絞めていく。


「およそ戦争という
 国の存亡をかけての非常事態のもとにおいては、

 国民がその生命・身体・財産等について、
 その戦争によって何らかの犠牲を余儀なくされたとしても、

 それは、国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、
 すべての国民がひとしく受忍しなければならない」


何度読んでも、恐ろしい。
誰が、どのような理由で戦争を起こそうとも、それが国家の名で行われる以上、ぼくらはなんの異議も唱えられない。

だが、これまで、国民の圧倒的多数の支持を確認してから遂行された「戦争」なんてあるのだろうか? あとから見れば、国民は踊らされていたと言える戦いは数多いけれど。

そんな過去を知るにつけ、国の進む道を決めているのは誰なのか? ぼくら有権者のはずなのに、その視点が揺らいでいるんじゃないか。そう思えてならない。


「国をあげての戦争による『一般の犠牲』として、
 すべての国民がひとしく受忍しなければならない」


この文言があらわれてから25年間。きょうまで、こんな非人道的な考えが公にされていたことさえ知らなかった自分のボンヤリ野郎ぶりを恥じる。

しかし、もう、忘れない。

・・・・・・・・・首相の靖国神社参拝に、初の違憲判決が出た日に。


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izumatsu先輩、こんにちは。

本当に恐ろしい言葉です。
憲法改正に賛成する人や軍隊を持とうと思う人は、
おそらくこういう心構えができている人なのでしょう。
ただ、戦争に行くのが自分や自分の家族、恋人、友人たちとは思っていない?
「誰か」が代わりに行ってくれると思っているのかな?
私にはそうとしか思えないです。

私もizumatsu先輩と同じ、戦争になったら息子を連れて逃げ出します。
憲法が変えられたらその準備も始めなくちゃいけないのかな。(涙)

確か中曽根首相だったと思うのですが、
被爆者の方に向かって「病は気から」と発言したことがありましたよね。
自国の戦争被害者に向かってなんていう言葉を向けるのかと、
心が痛んだ記憶があります。
結局政府の人にはその程度の認識しかないということでしょう。
国のために一般市民が犠牲になるのは当たり前、と。

2005.10.01 17:57 URL | うるとびーず #79D/WHSg [ 編集 ]

原爆という言葉を聞くと、去年の夏新幹線で隣に座られた御夫人を思い出します。ご自身も胃を切られ、娘さんとその御主人も癌を患われ、末代まで苦しめられるのと話されていました。娘さんの看護のために広島から東京に出て来られ、見知らぬ土地で暮らされているそうですが、それでも世の中を恨むでもなく、70過ぎて新しい土地で暮らしを楽しもうという積極的な姿勢が言葉の端々に感じられました。(実は最初の結婚で授かったお嬢さんは御夫人が戦死され、そちらの家に渡さなければならなかったそうです)戦争がなかったら、原爆がなかったら、この方の人生は全然違ったものになっていたのに、と思います。
そんな方が大勢いらっしゃるのです。「受忍」なんて軽くいってほしくありません。残酷すぎます。

2005.10.01 23:27 URL | バジル #79D/WHSg [ 編集 ]

>首相の靖国神社参拝に、初の違憲判決

画期的で勇気ある判決だと思いました。
それでも「そんなのおかしいよ」と抗言している首相って、司法判断をどう捉えているのか背筋が寒くなります。
結局、自分にとって都合のいい判決に対しては同調し、そうでないときにはまるで司法の側がおかしいかのように言う。
独裁者のようです。

日本人は「神社が宗教法人の一つである」という認識が全体的に低いのですよね。
だから靖国問題が何故違憲なのか、ピンと来ないひとが多いのだと思いますが「宗教行為の禁止」を憲法で謳っている以上当然の判決と思います。

ですが、「これが違憲なら、憲法のほうを改正すればいい」という強硬論が早速出てきたあたり、司法はそれをさせるために違憲判決を出してきたのかと勘ぐってしまいました。
考えすぎであってほしいですが。

2005.10.02 17:17 URL | nonkey37 #79D/WHSg [ 編集 ]

★うるとびーずさん

>izumatsu先輩、こんにちは。

はい、こんちはぁ。

>本当に恐ろしい言葉です。
>憲法改正に賛成する人や軍隊を持とうと思う人は、
>おそらくこういう心構えができている人なのでしょう。

ほんに立派な心構えだと驚嘆せずにはいられません。
「人の命を奪っていい」ということを意味する文言を憲法に明記する度胸は、ぼくにはありません。

>ただ、戦争に行くのが自分や自分の家族、恋人、友人たちとは思っていない?
>「誰か」が代わりに行ってくれると思っているのかな?

心のどこかで「自分が関わるはずがない」と思っているんでしょうね。
究極の楽観論者としか思えませんね。

>確か中曽根首相だったと思うのですが、
>被爆者の方に向かって「病は気から」と発言したことがありましたよね。
>自国の戦争被害者に向かってなんていう言葉を向けるのかと、
>心が痛んだ記憶があります。
>結局政府の人にはその程度の認識しかないということでしょう。
>国のために一般市民が犠牲になるのは当たり前、と。

せめて昔の武将のように、雑兵の先頭に立つならまだしもですねぇ。
自分は安全なところにいて、駒を動かし、コンピュータを操作させて戦う連中に命をくれてやりたくはないですね。


2005.10.03 16:29 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

★バジルさん

こんにちは。初めまして、でしょうか?

>原爆という言葉を聞くと、去年の夏新幹線で隣に座られた御夫人を思い出します。ご自身も胃を切られ、娘さんとその御主人も癌を患われ、末代まで苦しめられるのと話されていました。

そういう方にも「一般の、普通の犠牲だから、そのくらい我慢しなさい」と国は言うんですよね。信じられないです、ほんとに。

>戦争がなかったら、原爆がなかったら、この方の人生は全然違ったものになっていたのに、と思います。
>そんな方が大勢いらっしゃるのです。「受忍」なんて軽くいってほしくありません。残酷すぎます。

人の人生を変えてしまう戦争。それをOKとする方向に動きつつあります。
その方向を良しとする人は、自分は放射能や死の灰を浴びることは決してないと思っているのでしょう。
想像力が貧困なんでしょうね。

2005.10.03 16:34 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

★nonkey37さん

>>首相の靖国神社参拝に、初の違憲判決

>画期的で勇気ある判決だと思いました。

ほんとに。裁判官の方、法曹界でいじめられければいいですけどね。

>それでも「そんなのおかしいよ」と抗言している首相って、司法判断をどう捉えているのか背筋が寒くなります。
>結局、自分にとって都合のいい判決に対しては同調し、そうでないときにはまるで司法の側がおかしいかのように言う。
>独裁者のようです。

小泉さんは「独裁者」のカテゴリーに両足をつっこんでるようなもんですよね。
八面六臂に翻り、思うがままに振る舞うように見える小泉さんに魅了されている人が多いんだと思います。
「小泉さんは、おもしろい」じゃすまないんですけどね。

>「これが違憲なら、憲法のほうを改正すればいい」という強硬論が早速出てきたあたり、司法はそれをさせるために違憲判決を出してきたのかと勘ぐってしまいました。
>考えすぎであってほしいですが。

「司法の独立」って、その昔、習いましたけど、今の子どもたちにはどう教えているんでしょうか?
最高裁の判決を見るにつけ、「行政のしもべ」みたいですけどね。

2005.10.03 16:42 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]

こんにちは、
>誰が、どのような理由で戦争を起こそうとも、それが国家の名で行われる以上、ぼくらはなんの異議も唱えられない。

そのような事態には、抵抗するべきでしょう。
祖父は大空襲で焼け出され病んでこの世を去りました。私には子供がいないので、私の抵抗はオヤジからの2代で終わるでしょう。
私にはとても親切でやさしくしてくれる海外の友人・知人がいます。
日本が彼らに銃やミサイルを向けることを 発射することを私は許せません。
理想論や理念よりも 感情が既に許さないのです。
友に刃を向けることはできません。
最悪の場合、日本を戦争に導くもの達を早期に命がけで縛り上げる覚悟を国民がもっていなければ、先の大戦の轍を踏む可能性が大いにあるでしょう。
もっとも、だれしも自分が犠牲になることを恐れるので、特に日本の為政者が庶民を操るときの目の付け所です。たれ込みや裏切り者がでるでしょうね。
子供や将来の子孫のため楯になると覚悟出来るなら、悪の為政者に抗う革命も倒れようとも可能かもしれない。最近、これが親子と疑うような人間関係が目立ちます。
少なくとも 私は 戦争反対!絶対阻止!
そのまえに、あの理想も理念もないぼんくら国会議員を全取っ替えしなと日本はやばい!
日本防衛軍は必要ですが、専守防衛です。
「皮を斬らせて骨を断つ」です。
日本は戦争しない!ただし、日本を攻めた相手は全滅です!それが理想の「闘わずして勝つ!」です。
低コストで管理維持できるローリスクでハイリターンな究極の防衛技術が欲しいですね。
乱文にて失礼致します。

2005.10.04 14:41 URL | 金子淡路守 #79D/WHSg [ 編集 ]

★金子淡路守さん

>こんにちは、

はい、こんにちは。

>私にはとても親切でやさしくしてくれる海外の友人・知人がいます。
>日本が彼らに銃やミサイルを向けることを 発射することを私は許せません。
>理想論や理念よりも 感情が既に許さないのです。
>友に刃を向けることはできません。

冷徹な理性も必要なときもあるでしょう。でも、「殺したくない」という感覚は、理性以上に大切な場面があると思います。
そんな場面に陥ることを国家に強制されたくないですね。

>最悪の場合、日本を戦争に導くもの達を早期に命がけで縛り上げる覚悟を国民がもっていなければ、先の大戦の轍を踏む可能性が大いにあるでしょう。

その覚悟をなかなか持てないんですよね。程度の差こそあれ、経済的には大半の国民は潤ってますし。少なくとも飢えることはないですから。


>少なくとも 私は 戦争反対!絶対阻止!
>そのまえに、あの理想も理念もないぼんくら国会議員を全取っ替えしなと日本はやばい!

戦争反対に賛成です。
でも、あの国会議員を選んだのは、ぼくらという事実は考える必要がありますね。

>日本防衛軍は必要ですが、専守防衛です。
>「皮を斬らせて骨を断つ」です。
>日本は戦争しない!ただし、日本を攻めた相手は全滅です!それが理想の「闘わずして勝つ!」です。
>低コストで管理維持できるローリスクでハイリターンな究極の防衛技術が欲しいですね。

相手を全滅させるということは、こちらも全滅するということじゃないでしょうか。現代の科学技術を駆使しての戦いでは「皮を斬らせて骨を断つ」ことは不可能だと思います。
互いに骨を断ち合って終わるというのが現実できでしょうね。

2005.10.05 08:28 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]













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