番組構成師 [ izumatsu ] の部屋


NHKは3月22日が「放送記念日」だそうで、きょうとあす、特番があるそうな。

  → NHK 「放送記念日特集」

きょうは『テレビとネット アメリカ最前線レポート』と題しての1時間45分。内容はタイトル通りで、「おぉ、これは!」と思える情報はなかった。

ひとつだけ、うらやましいというか、やらねばならないなと思ったことがある。
それは、ドキュメンタリー番組をネットへ乗せること。

アメリカの某局では、放送が終了した番組を即、ネットに乗せている。ニュースやドキュメンタリーなど、ジャンルは問わない。こうしたサービスを始めた理由と意義について、その局の責任者は次のような内容のことを語っていた。

「これまでテレビ番組は“一度流れれば終わり”というものでした。これからは違います。インターネットに乗せれば、見たい人が、いつでも、自由に見ることが出来るのです」

そう、そうなんだ。テレビ番組って、富士の高嶺に降る雪みたいに、流れて溶けてハイ終わり。それが宿命。特にドキュメンタリーなど単発番組は、見逃した!と思っても、たいていの場合はもう二度と見ることはできない。流れてしまえば、もう未来永劫に戻ってこないのだ。

テレビが持つこの特性は、ディレクターなど制作者側に「この程度でいいか」と思わせてしまうという強烈なマイナス面も持つ。

テレビ局にとって番組は商品であり、製品だ。同様に、例えばテレビ受像器を商品とする家電メーカーは、明らかに性能の劣るモノや欠陥をかかえたモノを売ることは考えられない。

しかし、テレビは違う。オンエア日は厳然として決まっているから、どんなに出来が悪かろうとその時間には必ず放送される。ここが活字メディアと決定的に違うところ。新聞や雑誌などは世に問うてからが勝負だけれど、テレビは「流れてしまえば終わり」なのだ。あまりにひどくて差し替えという芸当ができるのは、番組を豊富にかかえるNHKくらいだろう。


あら? 話がズレてきた。

ぼくがきょうのNHK特番を見て「うらやましいな、ぼくらもやらねば」と思ったのは、単発番組の再放送。自分がかかわったにしろ、かかわらないにしろ、多くの人に見て欲しい番組が、たくさんたくさんあるのだ。

例えば、先日、制作に参加した『海にすわる~沖縄・辺野古 反基地600日の闘い~』という30分番組。世界で一番危険と言われる普天間基地の機能移転を理由に、豊穣の海を埋め立てて新たな基地を作ろうとする日米政府(と、それを支えるぼくら有権者)に対して厳然と座り込んだ辺野古のお年寄りや若者たちの姿を伝えている。

見て欲しい。たくさんの人たちに。

海に建てられたパイプで出来たボーリング用のヤグラに一晩中座り込んでいる人たちは、ぼくらの代わりに座っている。彼らは、日本が国として安全保障という呼び名の殺戮集団へと歩を進めることを、体を張って阻止しているのだ。

徹底的な非暴力を貫きながら、止める、阻止する。
その姿をぼくらは目に焼き付ける義務があるんじゃないだろうか。

と、思っても、もう全国の系列局ではオンエアが終わってしまった。もう、見てもらう手段はない。「見逃した、ダビングして」と言う友人・知人たちには個人的にテープなりDVDなりを送ることはできる。しかし、そうした手段のない人たちにとっては、辺野古で起きていることを深く知るすべがひとつ消えたことになる。

惜しい、メチャクチャ惜しい。

ディレクターはじめスタッフが取材に費やしたテープの量はおよそ400本、260時間強。そこから、泣いて馬謖を斬る思いで24分にまとめたディレクターとカメラマン。辺野古の人たちとスタッフの凝縮された思いを見て欲しいと願っても、たぶん、沖縄以外の都道府県の局で再放送されることはないだろう。

放送終了後、そのままインターネットに乗せれば、見たい人は、見たい時間に、自由に見ることが出来るし、口コミで広げることもできる。早くそんなシステムにならないだろうか。アメリカではすでに行っている局もあるのだ。日本でできないはずがない。

でも、局側はおよび腰。権利関係がからんでくるからだろう。著作権や肖像権など、権利意識が高くなってきたから、「放送されるのは一回だけ」と念を押して取材に応じる人も確かにちらほら出てきた。しかしそれは、局側の努力でクリアできる問題だろう。

NHKでは「アーカイブ」と称して昔のドキュメンタリー番組を放送している。見ていると良くできているものも多いし、なによりも懐かしく、自分の生きてきた痕跡を見るかのような感じがする。

しかし、そんなに時間がたった再放送じゃ、意味がない。
今、起きていること、伝えられなければならないこと。それは、本来、繰り返し、何度もオンエアされるべきものだろう。それがスポンサーその他の理由で不可能なのならば、せめてインターネットに乗せて欲しい。

そこにビジネスチャンスもあると思うが、英断する局があらわれるだろうか?





◆沖縄県にお住まいの方々へ◆


報道特別番組
海にすわる
  ~沖縄・辺野古 反基地600日の闘い~  


放映日時 3月25日(土) 午前10:30
放映局 琉球朝日放送(QAB)


番組内容は → こちら

ぜひぜひ、ご覧ください。



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とてもいい発想。実現させて欲しい企画だと思います。是非貴方のあなた方の手で実現させてください。やり遂げて欲しい価値ある仕事だと思います。
先日の「海」ちゃんと見ました。録画もしました。その後の総理の発表もテレビで見ました。複雑な思いです。

2006.03.21 00:34 URL | 雪虫の伝説 #79D/WHSg [ 編集 ]

★雪虫の伝説さん

>とてもいい発想。実現させて欲しい企画だと思います。

ありがとうございます! 

>是非貴方のあなた方の手で実現させてください。やり遂げて欲しい価値ある仕事だと思います。

実現したいですね、ほんと。

>先日の「海」ちゃんと見ました。録画もしました。その後の総理の発表もテレビで見ました。複雑な思いです。

見ないまま、知らないままではいけないことってありますよね。
「知らない=同意」となってしまいます。

2006.03.21 21:30 URL | izumatsu #79D/WHSg [ 編集 ]













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